(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座小児成育外科学 教授)
短腸症候群について
短腸症候群とは?
-
短腸症候群(Short Bowel Syndrome:SBS)は、何らかの原因で消化器官である小腸を大量に切除したことや生まれつき腸が短いことなどにより、生命の維持や成長に必要な栄養素を吸収できなくなった状態を示します。
どんな症状があらわれるの?
-
小腸の吸収機能が低下することによる栄養素や水分の欠乏に伴い、主に下痢、脱水、体重減少などの症状がみられます。
原因は?
-
成人と小児では、短腸症候群の原因となる疾患は異なります。
-
成人では、消化管に炎症が起こるクローン病をはじめとした下の表に示すような疾患による小腸の大量切除が原因となります。
-
小児では、胎児期の異常により腸がねじれる
中腸軸捻転 (腸回転異常症) やヒルシュスプルング病のような先天性疾患が原因となる場合もあります。
短腸症候群の原因となる主な疾患*1
成人 | 小児 |
---|---|
クローン病 外傷 放射線腸炎 腹部腫瘍 など
|
ヒルシュスプルング病および
ヒルシュスプルング病類縁疾患※ 腹部腫瘍 外傷 など
|
成人 |
---|
クローン病 外傷 放射線腸炎 腹部腫瘍 など
|
小児 |
ヒルシュスプルング病および
ヒルシュスプルング病類縁疾患※ 腹部腫瘍 外傷 など
|
※ヒルシュスプルング病類縁疾患は腸管に神経節細胞が存在するにもかかわらず、腸管の蠕動不全をきたす疾患の総称で、
疾患の稀少性のためその分類や治療方針に関するコンセンサスが得られていない。*2
*1 Pironi L, et al. Clin Nutr . 2015; 34(2): 171-180より作表
*2 難病情報センターホームページ(2023年6月現在)から引用
https://www.nanbyou.or.jp/entry/3258(2023年6月現在)