武田薬品工業株式会社

レベスティブを投与される患者さんとそのご家族へ

監修:奥山 宏臣 先生
(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座小児成育外科学 教授)

栄養療法について

栄養療法にはどんな種類があるの?

  • 栄養療法は大きく2種類に分けられます。栄養剤を経口で投与あるいは消化管内に直接投与し、小腸・大腸からの吸収を介して栄養補給を行う経腸栄養(EN)と、消化管を介さず栄養輸液剤を血管の静脈内に投与して栄養補給を行う静脈栄養(PN)があります。

  • ENは、消化管が機能している場合に選択され、経口栄養のほかに、鼻からチューブを挿入する経鼻栄養や、胃や腸に孔をあけてカテーテルを留置し、直接栄養剤を投与する胃ろう/腸ろう栄養があります。

  • PNは、消化管が機能していない場合または機能が不十分な場合に選択されます。PNには、手や足の末梢静脈にカテーテルを留置して栄養剤を投与する末梢静脈栄養(PPN)と、心臓の近くの太い血管である上大静脈に留置したカテーテルから投与する中心静脈栄養(TPN)があります。

栄養療法の種類

レベスティブの作用
  • ENで使用する栄養剤は、原材料が天然の食材である天然濃厚流動食と、そうでない人工濃厚流動食の2種類があります。人工濃厚流動食は、含まれる窒素源の違いにより、半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤に分けられます。

  • PNでは糖質、電解質、アミノ酸、脂質などの栄養素を含む輸液剤が使用されます。

栄養剤の種類

経腸栄養で使用する栄養剤
天然濃厚流動食 天然の食材を配合・濃縮した流動食。
人工濃厚流動食 天然の食材を人工的に処理あるいは合成した流動食。

・半消化態栄養剤

窒素源がたんぱく質であり、脂肪も必要量が含まれている。

・消化態栄養剤

窒素源はアミノ酸、ジペプチド、トリペプチドからなり、 たんぱく質を含まない。

・成分栄養剤

窒素源はアミノ酸であり、低脂肪で食物繊維を含まない。

*消化・吸収機能が保たれている場合は、半消化態栄養剤を第一選択とします。
*消化機能に障害がある場合は、栄養素がより細かく分解された消化態栄養剤や成分栄養剤の使用を検討します。

静脈栄養で使用する栄養輸液剤
末梢静脈栄養輸液剤
中心静脈栄養輸液剤
ブドウ糖、電解質、アミノ酸、脂質などの栄養素を含む輸液剤。 中心静脈栄養では、高濃度のブドウ糖が含まれる高カロリー輸液剤を使用する。

※現在、経腸栄養で使用されている栄養剤のほとんどが人工濃厚流動食です。

日本臨床栄養代謝学会編.: 日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック, 南江堂. 2021; P226-235, P288-294、
医療情報科学研究所 編.: 病気がみえる vol.1 消化器 第6版, メディックメディア. 2020; P475、
日本静脈経腸栄養学会 編.: 静脈経腸栄養ガイドライン 第3版, 照林社. 2013; P24、を参考に作表

レベスティブの作用

栄養療法の進め方は?

  • 短腸症候群の患者さんの栄養管理については、小腸を切除した直後はまずTPNから始めます(第1期:術直後期)

  • その後、残っている小腸の機能が回復し、小腸の吸収能や下痢の症状が改善してきたら、ENの併用を開始し、TPNの投与量を減らすようにします(第2期:回復適応期)

  • さらに小腸の機能が安定してきたら、ENを増やしていき、TPNからの離脱を目指します(第3期:安定期)。TPNからの離脱が困難な患者さんでは、自宅でTPNを継続する在宅静脈栄養(HPN)に移行します。

短腸症候群の病期と栄養管理方針

レベスティブの作用

日本臨床栄養代謝学会編.: 日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック, 南江堂. 2021; P440-444より作図

どのような栄養療法をいつまで継続するかについては、残っている小腸の長さや吸収能の回復の程度により異なるため、主治医が患者さんの状態に合わせて決めていきます。

小腸切除後の摂取エネルギー量について

  • 小腸を大量に切除した直後の栄養管理においては、短腸症候群の病期と残っている小腸の長さにより摂取エネルギー量を決めていきます。

  • 切除した直後では、通常の栄養状態の患者さんの場合は理想体重に基づいて25~30キロカロリー/kg/日のTPNから開始し、手術後2~3病日より徐々に投与するエネルギー量を増やし、40キロカロリー/理想体重(kg)/日を目標とします。

レベスティブの作用

※切除後の小腸の長さが30cm未満の場合、TPNから離脱できる例は少ないです。

飯合 恒夫, ほか. 救急・集中治療 2004; 16: 1017-1021より一部改変